長法寺・時の蔵 / 御本尊の記録
大正14年、「準国宝」と記された長法寺の薬師如来
長法寺の御本尊・薬師如来は秘仏としてお祀りしています。大正14年(1925)刊『菊間町案内記』には、この御本尊について「準国宝」と記されています。
さらに同書には、享保13年(1728)に本尊が修補された記録も収められており、その際の銘文は現在も蓮台裏に残されています。
一冊の古い案内記に残された記録と、いまも寺に残る御本尊。長法寺では、両者を照らし合わせながら、その歴史を少しずつ調べています。

長法寺・薬師如来前立仏
御本尊は秘仏のため、御尊像の写真は公開していません。掲載している写真は前立仏です。
『菊間町案内記』に残る「準国宝」の記録
『菊間町案内記』の「準国宝」の記録は、前立仏ではなく、秘仏である御本尊についての史料記載です。
大正14年(1925)刊『菊間町案内記』79頁の長法寺の項には、
「本尊 薬師如来(木像等身)行基菩薩の作と言ふ。準国宝」
と記されています。
ここでいう「行基菩薩作」は、当時伝えられていた寺伝として記されたものです。
また「準国宝」は、現在の文化財制度における正式な指定名称ではありません。そのため、長法寺では「国宝であった」「国宝に指定されていた」とは扱わず、あくまで『菊間町案内記』に残された当時の表現として紹介します。
出典:菊間町同窓会編『菊間町案内記』(大正14年刊)79頁

『菊間町案内記』(大正14年刊)79頁。長法寺本尊について「準国宝」と記されている。
享保13年に行われた本尊の修補
『菊間町案内記』80頁には、本尊が損傷したため、享保13年(1728)に修補されたことが記されています。
その修補に関する銘文は、現在も御本尊の蓮台裏に残っています。
つまり、大正14年に書籍へ収録された記録と、現在長法寺に残されている実物の銘文を照合することができます。
出典:同書80頁

同80頁。享保13年(1728)の本尊修補について記されている。
いま残る御本尊
現在も長法寺本堂には、薬師如来坐像が御本尊として安置されています。
制作年代や、「準国宝」という表現がどのような根拠で記されたのかについては、現時点では確定していません。
長法寺では、古い記録を現代の推測で埋めるのではなく、残された史料と実物を一つずつ照合しながら、御本尊の歴史を記録していきます。
残っているものから、分かることを。
約100年前の本に残された文章と、約300年前の修補銘、そして現在も本堂に安置される御本尊。
長法寺・時の蔵では、こうした地域と寺に残る記録を、分かる範囲から未来へ残していきます。